電源開発の歴史とともに開かれた温泉地
宇奈月温泉の歴史
富山県内最大規模を誇る温泉地である宇奈月温泉は、大正12年に開湯した温泉地です。元々は原始林に囲まれ一部の人にしか知られていなかった未開の地を、一大温泉地にしようと、約7km上流の黒薙から温泉を引く計画が進められました。その歴史は2018年現在で95年の歴史を刻んでいます。
宇奈月温泉木管事件
昭和初期、引湯する木管の土地の使用をめぐり、訴訟事件(宇奈月温泉木管事件)が起きました。判決では国内で初めて、「権利の濫用」を禁止する画期的な判断が下され、戦後の民法改正で民法1条3項に権利濫用法理の禁止が規定されることとなりました。その現場の近くには、“宇奈月温泉木管事件碑”として宇奈月ダム・うなづき湖畔に建立されています。
「宇奈月温泉」名称の由来
電源開発の功労者である山岡慎太郎と山田胖の二人は、ある夜、お湯に浸かりながら、生まれたばかりのこの温泉に、どんな名前を付けようかと相談していました。ちょうどその夜は月が美しく、宇治や奈良とならぶ「名月の地」に使用との思いを込めて、元々あった「うなづき」の地名に、「宇奈月」の文字をあてることにしたのです。
宇奈月温泉と引湯木管
宇奈月温泉の泉源はホテルから黒部川上流約7kmの黒薙というところです。大正12年に引き湯をはじめ、以来約50年間、赤松をくり抜いた木管で湯を引いていました。長さ約2m、太さ約60cm、重さ約150kgもあるものを、およそ3,500本、人力だけでつなぎ合せ、埋設されました。時代と共に交換する優秀な赤材の入手が困難となり、現在では全部がポリエステル製になっています。